4月からの診療報酬改定について、医療崩壊を防ぐために

厚労省はデフレスパイラルが続く中、今年4月から医療機関へ支払われる診療報酬を
10年ぶりに増額させました。
内容を大まかに書けば急性期病院が急性期の患者さんを診察することに集中できる環境作りを行えるよう資金を導入することです。またなり手が少ない医師不足の救急や産科、小児科、外科の再建と加重労働をされている病院勤務医の労働環境の改善です。
一般の急性期病棟もそうですが、例えば早産や重症の赤ちゃんを診る岡山市の医療センターの新生児集中治療室(NICU)では50床のベットの1割を1年以上ここでくらす子らが占めます。
病状が落ち着いているとはいえ、人工呼吸器や栄養チューブをつけ、体位を交換させたり痰を吸引したり24時間のケアを必要とする子供たちを受け入れる体制を持つ受け入れ先がなかなか見つからないからです。
医師たちは重症の子を診療するだけでなくNICUの子のうち小児病棟で対応できそうな子に移ってもらったり、福祉施設の空きを探す作業に追われますます勤務が過酷になり疲弊していきます。
そこでNICUのリスクの高い患者を直接引き受けた病院、病床に1人あたり1日5万4千円入るように次の改定では行われます。
しかし、受け入れに前向きになる医療機関もありそうですが人手の問題もあるように最長30日しか算定できないため、二の足を踏む医療機関が多いのではないでしょうか。
また新たな試みとして岡山県倉敷市の倉敷中央病院では1月、市の補助を受け人工呼吸器をつけて自宅に戻った子を受け入れる「レスパイト(一時預かり)」支援を始め、家族に休んでもらう仕組みを用意し、在宅への流れを支えています。
厚労省もリスクの高いお産を診る周産期母子医療センターなどへのレスパイト事業への補助金として全国47ヶ所、計5千万円を10年度の予算案に盛り込みました。
しかし、重い障害の子を受け入れる重症心身障害児施設の数や医療費も不十分であり、NICUなどの医師不足への対策も進めないと現場の問題は解決しません。
ベットの混雑は大人の集中治療室(ICU)や一般病床でも同様です。
けがや手術などで間もない急性期を過ぎて後方病院に移る人を入院ベットのある診療所が受け入れた場合の報酬が今回の改定で加算されることになりました。これも後方病床を強化することで急性期が急性期病院の役割を全うできるようにするためのものです。
また産科医不足で対応できる医師がいないため、救急搬送される患者さんが「たらい回し」されて症状が悪化し、時には死亡に至るケースもありました。救急搬送された妊産婦を受け入れた医療機関を現行の5万円から7万円と大幅に引き上げました。
切迫早産に対する帝王切開をすれば入院費の加算は1日当たり2万円から3万円に増額します。
産科医のやる気をだすためとはいえ、患者負担はかなり重くなります。
また開業している医師にも病院勤務の経験のある医師が多いので、地域の開業医が夜間や休日に病院で救急医療を担うと加算される仕組みが新設されました。夜間や休日に受診すると1千円上乗せされます。
また往診料は6500円から7200円に増額されます。
外来の再診料も従来診療所710円、病院600円だったのが、病院への配分を厚くするため診療所を下げ、病院を上げて690円に統一しました。
外科の難しい手術を3~5割引き上げました。
診療報酬全体では0.19%アップ、患者の窓口負担は平均的な外来負担(3割負担)で、月7.8円増えます。
従来の入院から在宅への流れは変わりませんが、救急、産科、小児科、外科に診療報酬を手厚くし、後方支援をすることでこれらの分野の医療機関、医師のなり手とやる気を引き出すのがねらいであると思われます。
しかし、医療過誤などの訴訟への対処、医師の休日を確保することなども重要だと考えられます。
なおこの記事は2月の朝日新聞を参照させていただきました。
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